大企業に入社したからといって、良いことばかりではないのは当たり前です。
大企業に合わなかった人や仕事が高度過ぎてついていけず「もう疲れた・・・」と思っている人も少なくありません。
しかし、大企業に入社したことを後悔しても始まらないので、将来をしっかり考えた上で転職も検討するようにしましょう。
大企業を辞めるのはもったいないこと?
「大企業を辞めるのはもったいない」良く聞く言葉ではないでしょうか。しかし、多くの場合はこれは周囲の声じゃないですか?
例えば、両親から「せっかく大企業に入ったんだからもうちょっと頑張ったら?」と言われてみたり、友人から「そんな大きな会社二度と入れないんだから辞めない方がいいんじゃない?」と言われてみたり。
でも、その言葉を掛けてくれる人達は善意かもしれませんが、実際に働いているあなたの状況に寄り添っているとは言いづらいですよね。
確かに大企業のメリットはあります。
- 業績が安定している
- 福利厚生がしっかりしている
- 収入が良い
- 世間体が良い
- 大きな仕事ができる可能性がある
などなど、パッと浮かぶだけでもこれくらいはあるでしょう。
しかし、実際のところはどうでしょうか?周囲はイメージだけでそう言っているけど、業績の安定なんていつまで続くかも解りません。
収入だって、中小企業でも高収入が狙える仕事はあります。しかも大手だからと言って必ずしも高年収になるとは限りません。
世間体は確かに良いかもしれないけれど、そんなもの他人の評価ですから、最終的に自分の幸せに直結するものではありません。
大きな仕事だって、できるのは一握りのエリートで、大きい企業ほど細分化が進み、一人が任される仕事は全く面白みがないケースだって少なくないです。
反対に、大きな仕事を任されたり、一人でカバーする範囲が広ければ、やり甲斐はあるかもしれませんが、レベルが高すぎてついていけずに疲れてしまう人も沢山います。
そう考えたら「大企業だから辞めるのはもったいない」というだけで、そのまま会社に残ることを選択するほうがデメリットが大きい気がしませんか?
大企業を辞めた人のその後
大企業から中小企業へ転職した場合、再度大企業に戻るのは簡単ではありません。
ですから、どうしても大企業じゃなければできないような仕事をしたいのであれば、転職するにしても大企業を選んだほうが良いでしょう。
※もちろん、大きな実績や特別なスキルが身についていれば、中小から大企業への転職も不可能ではありません。
私は、個人的に以前は大企業で働いていました。3年ちょっとで退職しましたし、そこからは起業して現在に至るので、サラリーマンを続けた人のその後ではありませんが、参考までに書いてみたいと思います。
退職した理由は主に下記のようなもの
- 理不尽な仕事に慣れたくなかった
- 残業が多すぎて多忙すぎた
- 他にやりたいことがあった
日本の会社には特に多いと思いますが、会社での常識が世間の常識とはかなりズレていました。
メーカーの営業だったのですが、製品のデメリットを顧客に伝えることはNGでしたし、嘘ギリギリのセールストークを強要されていました。
また、法人客への対応と個人客への対応は天地雲泥の差がありました。同じ製品を法人客には4掛け(60%引き)で販売しても怒られず、個人客には通常の見積もりを120%にしてから8~9掛け(80%~90%引き)で販売していました。
例を出せば、同じ100万円の製品を法人客は40万円で、一方で個人客には96万円で販売するということになります。
法人客は売上高の額が違うので、ある程度は仕方ありませんし、世の中そんなものと言えば、多くの業界でそんなものなのも大人なので理解はできていました。
ただ、「それは当たり前」と何の疑問もなく納得するような人間になっていくのを感じて自分に嫌気が差しそうなこともありました。
だったら、慣れないように、痛みも感じながらやっていこうと思っていましたが、それはそれで無理があるなぁとは感じていました。
残業は4~5時間/1日は当たり前。営業手当がついているので残業代は出ませんし、実際の労働時間で時給を出したら、涙が出てくるような給料でした。
もちろん、大企業なので福利厚生もしっかりしているし、潰れる心配もほとんどない業界でしたが、毎日満員電車に揺られて、仕事をするだけの日々に「自分は何をやっているんだろう」と感じることは多かったです。
最終的には、当時やりたい事があって、その意欲が強くなった時点で辞表を出しましたが、今になってみて後悔することは何1つありません。
最終的には起業したので、仕事はサラリーマンより自分の責任が重くなり、自分の頭を使って仕事をしなければならないので楽ではありません。
だけど、反対に自分の考えでいろいろできるので、充実して楽しいです。満員電車に揺られることも無いどころか、電車にもほとんど乗りません。
世間体は「せっかく大きな会社に入ったのに・・・」という周囲の声があったものの、起業したら社長なわけで「凄いね~社長なんて」としか言われません。
結局、世間体なんていうのは、イメージや収入でしかなく、実際にどれだけ辛い思いして努力しているかとか、やりたい事に情熱を燃やして生きているかとかは影響しないです。
だけど、この人生を生きているのは紛れもなく自分自身です。
誰がなんと言おうと、自分が幸せだと本音で思える道を進むのが、幸せを掴む最低条件だと思っています。
私の場合の話になったので、全ての人が当てはまるわけではないと思います。しかし、今の自分が当時の自分にアドバイスできるとしても「大企業なんだから辞めるな」とは絶対に言わないことだけは確かです。
新卒で大手を辞めても良い条件
新卒の3年離職率は3割程度ですが、最も辞める人が多いのは半月から10ヵ月の間と言われています。
もし新卒一年未満なら、経験の少なさから仕事の楽しさを感じられない場合もあるでしょうから、もう少し我慢してみても悪くはないかもしれません。
ただし、下記のような場合は転職を検討しても良いでしょう。
- パワハラがひどい
- 労働環境が劣悪
- 将来の明確なビジョンがある場合
パワハラがひどい
パワハラがひどい場合は、その上司なり同僚なりと、この先どの程度の期間付き合うことになるのか考えてみましょう。
例えば、後1年待てば上司が変わる可能性があるのと、5年間は変わる可能性が無いのとでは大きな違いでしょう。
また、在籍する会社にコンプラの部署があるなら、相談してみることも大切です。その上で、できることを行動に移したけれど、状況が改善しないなら、転職したほうが良いでしょう。
無理をし続ければ、いずれ辞める時期が来るでしょうし、その前に心身ともに病んでしまう危険もあります。
こればかりは、人によって耐性がまるで違うので、他人の意見に惑わされず、自分でどの程度の負荷が掛っているのかよく考えてみる必要があります。
労働環境が劣悪
残業が多すぎる、休日が少なすぎるなど、労働環境が劣悪なブラック企業の場合、その環境が改善される可能性は少ないでしょう。
環境が変わらないのなら、自分が慣れてなんとも思わなくなるしかありません。
それができそうもない、そうなってまで今の会社に残りたいとは思わないというのであれば、転職を検討したほうが良いでしょう。
将来の明確なビジョンがある場合
新卒入社の場合、具体的な仕事内容や労働環境などをイメージすることは難しいことです。
そのため、入社して「思っていたのと違う」と感じる人はとても多いです。
人によっては、「思っていたのと違う」けれど「続けていくことが大事」と考える人もいますし、「違うと感じるなら新しい道を選ぶ」という人もいるでしょう。
残るにしても転職するにしても、どちらにもリスクはありますし、どちらの選択をしたら将来納得できるのかも、人によってそれぞれです。
ただ、1つ言えるのは、「今の会社を辞めたいだけ」で退職するのはおすすめできないということです。
辞めるのであれば、将来どうなっていきたいのか、ある程度具体的なプランを考えて転職先の企業を選ぶ必要があります。
なんとなく選んでしまえば、また同じように辞めたいと思う可能性が高いからです。
転職を繰り返せば条件が不利になるだけで良いことはありません。
自分の特長を活かして長く勤められる企業を選び、将来のキャリアプランをイメージできるようであれば、転職を選んでも後悔しない選択になるかと思います。
大企業を辞めて後悔しないか?勇気が出ない。
もちろん、全ての人が起業する訳でもないですし、家庭の事情で簡単に決断できない人も多いと思います。
自分自身も若かったから勢いで辞められた部分もあるとも思います。家庭があり30代半ばだったら辞めることができたのかは疑問です。
さらには、サラリーマンを全うすることが幸せだという価値観の人を否定する気は全くありません。
ただ、周囲の意見に惑わされて、自分の本当の気持ちに嘘をつき続けても、結果として幸せにはならないような気がしませんか?
大企業から中小企業に転職して収入は減ったけど幸せだという人もいます。
やりたい仕事をする為にベンチャーに飛び込む人もいます。
大企業で歯を食いしばって、上り詰める人もいます。
それぞれ、自分の意思で「こうなりたい」と思った結果であれば、後悔はしないと思います。後悔するのは深く考えず行動してしまった人や、他人の意見を聞いて自分自身で決断できていなかった場合でしょう。
大企業を辞めるのは勇気が要りますし、後悔しないか心配になるのは誰でも同じだと思います。
大企業に残って、良いこともありますし、悪いこともあるでしょう。反対に大企業を辞めても良いこともあれば悪いこともあります。
価値観というのは、人それぞれ違うものですから、結局のところ、あなたが本心でどうしたいか、しっかり考えることが大切だと思います。
大企業を辞めて
- 収入面はどうなるのか
- 仕事のやり甲斐はどうなるのか
など、失うメリットや、得られるメリットを曖昧にするのではなく整理してみることをおすすめします。
その上で、自分が進もうと思う道に進むのであれば、後悔するような事はないと思いますよ。
どっちに進んでも、大変なことも楽しいこともあるはずです。損得勘定や周囲の意見だけに惑わされず、自分の胸に手を当ててじっくり考えてみるようにしましょう。