職務経歴書は、経歴書時系列に沿って書くだけで良いというものではありません。人事採用担当者に「この人と会ってみたい」と思わせるだけのアピールができるかどうかが、書類選考突破のカギを握っている大切な書類です。
その職務経歴書を書くにあたって、キャリアの棚卸し(経歴の棚卸し)は、最初にやるべき重要な課題ですが、何の準備も無く書き始めてしまっても上手なアピールは難しいものです。
このページでは、キャリアの棚卸しを的確に簡単にできる方法を解説しています。ここに書かれた手順でキャリアの棚卸しをすることで、職務経歴書もスラスラと書きやすくなり、面接対策もしやすくなるかと思いますので、ぜひ参考にしてください。
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キャリアの棚卸しとは?
そもそもキャリアの棚卸しって何?という人もいると思いますので言葉の意味から簡単に説明します。
キャリアの棚卸しとは、これまでに携わってきた仕事について、実績や、どのような評価を受けたのか、それによって得られたことなどを全て書きだして整理することを言います。
実際に職務経歴書に書く際は、全てを書くわけではなく、応募企業のニーズに合わせて記載しますが、忘れていた経験が思いもよらずアピールできる内容だったりすることもありますので、必ず行うようにすることをおすすめします。
キャリアの棚卸しが重要な理由
- どの会社が自分にあっているのか
- 自己PRはどうすれば良いのか
- 面接で何を聞かれるんだろう
転職の際には、上記のような悩みは尽きないものです。
職務経歴書で経歴を書くのに必要なのはもちろん、自分の適性を知るにしても、自己PRを書くにしても、面接で的確なアピールをするにしても、しっかりとキャリアの棚卸しをして自分を見つめることで、効果のあるアピールをすることができるようになります。
また、転職エージェントを利用する際も、キャリアコンサルタントとのヒアリングの前にキャリアの棚卸しを済ませておくことで、自分の要望や強みを的確に伝えることができ、紹介先とのミスマッチが起こりづらくなります。
自信を持って転職活動に臨むためにも、得られることも多いと思いますので、真剣に取り組むことをおすすめします。
キャリアの棚卸しが捗る5ステップ
それでは、実際にキャリアの棚卸しをどのように進めれば良いのか解説していきます。
ステップ1:5W1Hで経歴を棚卸しする
まずは、どうアピールすれば良いかは無視します。余計な事は考えず、純粋に過去の経歴を洗い出す作業を行いましょう。
When(いつ) | 2015年4月~2017年5月 |
Where(どこで) | 〇〇塾株式会社 営業部 従業員数120名 資本金120,000千円 |
Who(誰に) | 小中高の受験志望者の両親 |
What(何を) | 個別指導塾の契約 |
Why(なぜ) | 新規顧客の開拓、契約 |
How(どのように) | リストを使った電話営業、進路相談 |
5W1Hで書きだすことで、経歴のポイントを整理しやすくなります。5W1Hだとイメージしづらい場合は、棚卸しシートを下記のように作成しても良いでしょう。
在籍時期 | 2013年11月~2015年3月 |
会社名/部署名 | 株式会社〇〇商事/営業1課(法人営業) |
取引先 | 百貨店、スーパーなどの販売法人 |
何を売る(する)仕事か | 輸入果物の卸売 |
具体的にどんな仕事か | 旬、売れる果物と売り方を提案 |
どのように仕事をしたか | TELアポ、訪問営業、売り場のコンサル |
ステップ2:仕事の実績や工夫を書きだす
ステップ1では、今までの仕事で何をしてきたのかを書きだしましたが、ステップ2では、さらに具体的な内容まで掘り起こしていきます。
実績 | 年間売上件数140件、前年比125%を達成。社長賞 |
工夫したこと | 週ごとの目標を決め、逆算してスケジュール管理。営業先の状況を詳細に把握し、ニーズを掴む努力をした。 |
得られたこと | 有効な時間活用ができるようになり、仕事が効率的になった。的を射た提案ができるようになり、取引先の信頼を得ることができた。結果、売上アップに繋がった。 |
実績は、できるだけ具体的に、思いだせる限り思いだして全て書きだしてください。
例えば、「担当企業数」や「作成した企画書などの書類」、「売上実績と、目標達成率(前年比含む)」などです。社内表彰などが無い場合も、上司や同僚の評価なども記載しておきましょう。
また、その実績を上げていくプロセスで、工夫したことや努力したことを記入していきましょう。ここでも「アピールできるの?」という疑問は一旦置いておいて、とにかく何でも良いので思い出したものを全て記入してください。
例えば、目標達成に向けて、壁にぶつかった経験や苦労したことがあれば、その時どのような工夫をして、結果どうなったのか、どういったスキルや経験が得られたかなどのエピソードも記入していきましょう。
ステップ3:自己評価と満足度
その仕事の自己評価と満足度(10段階)と、その評価になった理由も書きだしてみましょう。
自己評価・満足度 | 6点 |
理由 | あまり好きな仕事ではないが、能力は発揮できていた。上司の評価も満足。理不尽なルールが足かせになっている面があった。 |
ステップ4:転職して満足度が上がるかを考える
ステップ3で書きだした、「自己評価・満足度」が、転職して上がるのかどうか、考えて書きだしていきます。
特に、満足度の高い項目は、今の会社でも、この先満足度が上がるのか。転職したら下がる可能性があるのか。満足度の低い項目は、転職することで、満足度を高められるのか。今の会社では高められないのか。を記入していきましょう。
それらを書きだしていくことで、転職する理由が明確化されていきます。
ステップ5:将来のキャリアビジョン
転職して付きたい職種、業務の内容、その仕事をして、どうなりたいかという目標・理想と理由、その目標を達成する為の手段、それらが転職することで可能になるのか、その理由を含めて書きだしていきます。
まとめ
いかがだったでしょうか。この5ステップを、ご自身の経歴を思い出しながら、しっかりと取り組むことで、漠然としていたことが明確になっていくと思います。
キャリアの棚卸を行うことで、職務経歴書も端的にアピールされた質の高い選考書類になりますし、面接時に具体的に話す際も、一度しっかりと振り返れているのといないのとでは、アピール力に差がでてくるでしょう。
また、転職エージェントを利用する際も、予め棚卸しができていれば、担当するコンサルタントにとっても、マッチした企業を探しやすく、紹介しやすいですし、より転職成功に近づくことができますので、時間を作って取り組むようにしていきましょう。
職務経歴書の書き方のポイントと、サンプルフォーマットは下記のページを参考にしてください。
