特に深くは考えずに退職してから転職活動を行う人もいますが、転職に関わる費用は意外に大きな金額になります。
転職活動を始めてからお金が掛かることが解って後悔するのも嫌でしょうから、事前に必要な費用がどのくらいかかるのか把握しておきましょう。
このページでは、「転職に掛る費用は何にいくらくらい必要なの?」「転職した人の転職費用の平均は?」といった疑問を解決する内容をまとめておきますので、参考にしてください。
また、現在の居住地から引っ越しをしなくてはならない場合「引っ越し費用がいくら掛るのか」「会社が負担してくれるのか」といった疑問についても、知っておいた方が良い情報を紹介していきます。
転職活動に掛る費用の平均額
どこまでが転職費用なのかという事でも違いますが、リクナビNEXTの調査では、「家賃・生活費を0と回答した人は除いて産出」したものですし、引越しの費用は入っていません。
この平均値では、生活費・家賃が含まれるので、当然ながら高額になりますが「54万円」と算出されています。
内訳は下記の通りです。
- 生活費・・・254000円
- 家賃・・・240262円
- 交際費・・・53745円
- 交通費・・・36204円
- 服飾費・・・25059円
- 書籍・インターネット・・・25053円
- 履歴書・郵送費等雑費・・・15004円
また、退職前の転職者と、退職後の転職者とでは平均費用が倍近く違っています。
退職前転職者 | 退職後転職者 | |
平均支出 | 約 37万円 | 約 71万円 |
平均準備金 | 約 37万円 | 約 63万円 |
準備金が「0円」の人の割合 | 32% | 20% |
準備金が余った人の割合 | 62% | 46% |
出典:リクナビNEXT
純粋に転職活動で準備するべき費用と考えるのであれば、退職前に転職活動を行う場合、家賃や生活費という項目は、活動する前と大して変わらないでしょうから、除外して考えても良いでしょう。
しかし、退職後の転職活動ともなると、会社からの給与は無くなるわけですから、家賃や生活費も費用として考えておく必要があります。
また、転職費用の多くの割合を占めるのが家賃・生活費ということが解りますが、それを除いても、平均155065円という調査結果ですので、それなりにお金が掛ることは予め認識しておく必要があります。
転職に掛る費用は具体的にどんなものに掛る?
まずは、転職活動自体に掛る費用から解説します。
- ハローワークや転職サイト、転職エージェントなどの利用
- 履歴書・職務経歴書
- 面接や説明会などの交通費
ハローワークや転職サイト、転職エージェントなどの利用に関わる費用
ハローワークや転職サイト、転職エージェントの利用は基本的に無料です。
ただし、ハローワークや転職エージェントの面談などの為に掛る交通費は転職の費用です。またビズリーチのように会員制の有料転職サイトもありますので、そちらを利用する場合は、月数千円の費用が掛かります。
ハローワークの場合は地元でしょうから、電車を利用しても数百円でしょうし、車で移動する場合も市内移動になるでしょうから、ガソリン代も着にならないレベルでしょう。
転職エージェントの場合、面談拠点が近ければ、せいぜい1000円程度の交通費で済みますが、遠方から面談に赴く場合は交通費もバカにはならないかもしれません。
近場でない場合でも、コンサルタントと顔を合わせて面談を受けたほうが良いとは思いますが、費用に余裕がないのであれば、電話面談という形を取れますので、交通費をかけないことは可能です。
履歴書・職務経歴書などの費用
履歴書は販売されているものを利用する場合、枚数や書式などはいろいろありますが、3枚程度から10枚程度で350円~600円程度です。テンプレートなどをダウンロードして印刷すれば費用は抑えられますが、履歴書は厚手なので、専用用紙を購入する人が多く、数百円は掛かります。
どちらかというと費用を抑える為というよりは、記載内容を変えたい場合に、自分に合った履歴書を印刷する用途になります。
職務経歴書は、販売されているものではなく、自分で読みやすい形にWordで作成するのが望ましいです。プリントアウトするだけなので、紙代やインク代といった細かいことを言わなければ、費用はほとんど掛かりません。
履歴書に貼る写真は、写真スタジオで撮って、3~4枚で1500円~3000円くらいかかります。もちろん、撮影するスタジオや画像加工を行うかどうかによってもかなり費用に差が出ます。
転職では平均12~13社の応募になりますので、平均的に言っても5000円程度は掛るということになります。費用を抑えるには「カメラのキタムラ」のようなチェーン店がおすすめです。
書籍・インターネット代
書籍やインターネット代は、求人を探したり、企業研究や業界研究、面接対策などに必要な費用です。
書類の書き方などは書籍を購入する必要はありませんが、そのほうが進めやすい人もいるでしょうから、自分で必要なものは購入し、必要ないと思えば購入せずに費用を浮かせればよいと思います。
インターネット代は、日ごろから使っている人が多いでしょうから、特段、転職活動だからといって増額するわけではないですね。ただし、退職後の転職活動の場合は、収入が得られないので、インターネット代金ですら費用の一部としてカウントしておかないといけません。
面接や説明会などの交通費
普通に転職活動を場合、ここが費用として一番掛るところでしょう。面接の交通費が支給される企業もありますが、ない場合毎回電車賃などの交通費が掛かります。
それでも、居住地と遠くない企業の面接であれば、それほど大きな金額が掛るわけでもありませんし、よほどギリギリの生活をしているのでなければ、準備するほどの問題ではないでしょう。
ただし、地方在住の方が東京の企業の面接を受ける場合などは、往復で数万円の交通費が掛るケースもあるでしょうから、状況に応じて事前に準備しておく必要があります。
遠方から面接を受ける場合も、交通費を支給してくれる会社もありますが、あなたがどう評価されているかによっても変わるでしょうし、会社の規定によっても変わります。
企業に聞いてみることは構いませんが、基本的には自分の為の面接ですから、自分で負担になっても良いように準備しておく心構えが必要です。
交際費
交際費は、転職に関わる交際費というより「友人の結婚式が続いた」といったようなものが多いようですが、普段掛らない費用が必要になるケースもあるので、転職準備金の中にある程度見積もっておいたほうがよさそうです。
家賃・生活費
こちらも、転職に直接関わる費用ではありませんが、特に退職してからの転職活動の場合、お金の準備が足りないとそもそも生活するだけで大変な状況になりかねません。
失業給付などもありますが、自己都合なら3か月後からの支給ですし、今まで給与としてもらっていた額を支給されるわけでもありません。給付期間も3ヶ月の人は、あまりうかうかしていられなくなりますし、焦って望まない会社に入ってしまうのでは、そもそも転職をした目的が違ってしまう恐れもあります。
パワハラなどで、心身ともに疲弊し、どうしても退職しなくてはならない状況になってしまったような場合は仕方ないこともありますが、準備金に余裕があれば、精神的にも余裕が出ますので、できるだけしっかり準備したいところです。
その他の費用
その他は、必要ならばというものになります。
スーツや靴、鞄、ネクタイ、時計、手帳やペンなど、身に着けるものと文房具は、普段使っているものでも良いのですが、面接では第一印象がとても大切なので、身だしなみには特に気を付けて望みましょう。
オーダーメイドのスーツでも2万円程度から作れる店があります。サイズの合ったスーツを着るだけでも印象は変わりますので、費用に余裕がある人はスーツを新調するのも良いかと思います。
所持しているもので済めば良いですが、スーツと靴・鞄などを新調する場合、それだけでも5万円程度は掛かります。ちょっと質の良いものや欲しいものを選べば、さらに費用がかさむこともあるでしょう。
時計や手帳、ペンなどは、場違いな雰囲気のものでなければ大丈夫ですが、シンプルなものを持っていない場合は、この機会に購入するのも良いかと思います。
また、面接前には髪の毛をカットやヘアカラーも行い、清潔感を出すようにしたほうが良いでしょう。
会社を退職してから転職活動で掛る費用
会社を辞めてから転職活動をする場合、さらに下記のような費用の準備が必要になります。
- 年金
- 国民健康保険料
- 住民税
現職があれば、年金や健康保険料、住民税ともに、給与から天引きされているかと思います。これらは退職すると自分で収めなくてはいけないので、転職に関連する費用として準備をしておく必要があります。
国民年金は平成29年に16900円に固定される予定でしたが、物価や賃金上昇率を加味した保険料改定率によって多少の差が出ていて、現在は月16490円です。
健康保険は前年の年収によって掛る金額が変動しますが、所得が高い人で退職してすぐに国民健康保険に移行する場合、収入がないのにかなり高額な保険料を支払わなくてはならないケースがあります。
そんな人は、退職後も2年間に限り、それまで加入していた健康保険に引き続き加入できる任意継続の制度の手続きを取って利用することで、支払いを決まった限度額まで(65歳未満は月3万2732円が上限)で抑えることができます。
会社が半分払っていた分まで支払う必要がありますが、国民健康保険に加入するより、安く収まるケースが多いので、予め考えておく必要があります。
所得が高くない場合は、任意継続する必要がないですが、市町村によっても額が変わるので、国民健康保険に加入する場合の保険料は『国民健康保険計算機』などで事前に調べて必要な費用を用意しておきましょう。
住民税に関しては、前年度の所得に応じて支払う税金の為、会社を辞めて収入が無くても支払う義務があります。
転職と同時に引越しをする場合の費用
転職先が遠方の場合や、現在の住居が会社の寮などで退去しなくてはならない場合、引越しが必要になる人もいるでしょう。
地方から上京する場合や、反対にUターン転職を希望する人も少なくはありません。
引越しの費用は、企業によっては出る可能性がないわけではありませんが、基本的に自費になる事が多いので、事前に準備しておくようにしましょう。
遠方でない場合でも、敷金や礼金などで数十万単位のまとまったお金が必要になるケースがありますし、遠方であれば引越し業者の費用も高くなります。また、1人暮らしなのか、家族がいるのかでも当然荷物の量が違ってきますので、掛る費用も変わってきます。
引越しが必要になる場合は、事前にある程度概算を知っておいたほうが良いので、『引越し料金早見表』などで、ある程度把握しておくか、実際に業者に見積もりを出してもらうなどして、準備をしておくようにしましょう。
ハローワークの紹介求人の場合で、失業給付受給者であることなど、一定の条件で引越しが必要と認められる場合は、ハローワークから移転費が支給されますので、ハローワークを利用して転職をする際は確認してみるようにしてください。
費用がない場合はどうする?
初めに紹介した調査では、転職準備金を0と答えた人も27%もいました。しかし、実際にはお金が掛るのはここまで解説してきた通りです。
転職活動の期間が短く済めばそれだけ費用も抑えられますし、労力も少なくて済みます。転職費用が少ない人もいますし、誰もが転職にお金を掛けているわけではないので、予め計算づくでお金を掛けない転職をすることはできないことではありません。
退職さえしなければ、家賃や生活費はいつも通りなので、問題ないでしょうし、生活費を工夫すれば少しは転職に使える費用もねん出できるのではないでしょうか。
もちろん、始めてみてから、お金が足りなくなりそうなら、転職活動を一時中断することも可能ですし、そこまで深刻に考える必要はありません。
スーツや靴、鞄などは新調しなければお金が掛かりませんし、交通費も遠方でなければ、10社受けても1万円もあれば事足ります。
ただし、退職をしてからの転職活動を考えている場合は、長期戦になることまで視野に入れて、十分な費用を準備しておく必要がありますし、退職金がいくら支払われるかなども調べておく必要があるでしょう。
やはり、一番良いのは、退職はしないで、仕事をしながら転職活動を進めていくことだと言えます。
仕事をしながらの転職活動は負担も大きくなりますが、転職エージェントを利用すれば、かなり負担を軽減することができます。
自力で転職活動をする場合、求人を探し、応募して面接スケジュールの調整を行い、アドバイスを受けることもできずに不安もある中で面接を受け続けなくてはならないこともあるでしょう。
その点、転職エージェントを利用すれば、サポートしてもらえますし、受かる可能性の低い企業はそもそも紹介されませんので、内定率を上げることも可能です。
市場価値を判断できずに、受かる確率の低い求人に応募しまくっったり、内定を決めたいと焦って、自分を安売りしてしまう人も少なくはありませんので、特別な理由がない限りは、転職エージェントを利用するようにしてください。
おすすめの転職エージェント
転職エージェントは数多くありますが、下記の2社は他の転職エージェントとは違い求人数が圧倒的な為、必ず登録することをおすすめします。
リクルートエージェント
『リクルートエージェント』は、約16.5万件(内非公開求人 約13.7万件)と、圧倒的な求人数が最大の特徴の転職エージェントです。
リクルートの知名度を活かし、企業との太いパイプがある為、転職実績も豊富でそれだけ転職サポートのノウハウも蓄積されています。
大手からITベンチャーまで、幅広く良質な独占案件を数多く保有していていますので、まずは登録することをおすすめします。
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『doda』は、リクルートエージェントに次ぐ業界2位のエージェントです。
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リクルートエージェントと同時に登録することをおすすめします。
まとめ
転職には、思っていたより費用が掛かるケースがあることをお解りいただけたかと思います。
当然のことながら、人によってお金を掛ける人と掛けない人がいますし、平均を知ったところで参考程度にしかならないかも知れません。
このページで紹介したような具体的な費用を一通り考慮に入れて「自分ならどのくらい必要そうだ」という金額を予め準備しておくようにしてください。