年間休日60日は、週に1度の休みの他は8日間しか休みがないという非常に少ない休日数です。
この休日数では、よほど他の条件にメリットが無ければ続けていくのがかなりしんどいと思いますし、休日数が少なくて転職を考えているのなら、すぐにでも転職活動を始めるべきでしょう。
情報収集をするだけでも、年間休日の多い企業が山ほどあることに気付けます。
また、今、転職活動や就職活動の最中で、年間休日60日の企業を検討しているのなら、一度冷静にどれだけデメリットが大きいかを知っておいたほうが良いと思います。
年間休日60日は違法ではない
まず、年間休日60日が違法なのかどうかですが、結論から言うと違法ではありません。
労働基準法では、使用者は労働者に、毎週1回の休日を与えなくてはならいと決められています。
また、変形休日制という規定もあり、毎週1回が無理でも4週に4回の休日を与えれば良いいう決まりがあります。
このことから、年間休日に換算すると、1年52週×1日=52日が法律上の最低休日数になります。
しかし、労基法には休日の他にも労働時間に関する規定があり、「労働時間は週40時間以内」という限度があります。
これは36協定と言われる労使協定を結んでいる場合、時間外手当を支払えば、それ以上の労働時間が許される決まりです。
年間休日60日で違法になるケース
ですから、年間休日が60日しかないという場合に違法になるケースは
- 週1回(もしくは4週4回)の休みがない場合
- 週40時間以上の労働時間で労使協定が結ばれていない場合
- 週40時間以上の労働時間で時間外手当(残業代・休日出勤手当)の支払いがない場合
年間休日60日の場合、変形労働制を取っていても、1日の労働時間は6時間50分以内が限度になります。36協定を結んでいる場合は、それ以上の労働時間に対しては割増しの時間外手当を支払われます。
もし、年間休日60日で、(例えば1日8時間とか9時間とか)1日6時間50分以上働いていて、残業代が出ていないのであれば、違法ということになります。
未払いの残業代を請求するにも、証拠やら法的手続きやらで、いろいろ面倒ですが、とにかくブラックだということは間違いないですし、とっとと違う会社に転職することをおすすめします。
違法でなくても年間休日60日はかなり少ない
前章で年間休日60日だからといって違法ではないことを解説しましたが、それでも60日は少なすぎると言い切れる休日数でしょう。
厚生労働省の発表している「平成29年度の就労条件総合調査結果の概況」(平成30年9月現在最新)によれば、平均の年間休日は113.7日ですから、平均より53.7日少ないです。
これは、1週間で考えて年間52週ですから、1週間につき1日は平均的な企業より休みが少ないという計算になります。
しかも年間休日が69日以下の企業は1.2%しかありません。
年間休日60日以下という企業は、この1.2%よりもさらに少ないことは間違いないでしょうし、年間休日としては実質最低限と思って良いでしょう。
企業規模が小さいほど休日が少ない傾向がありますが、30~99人規模の企業でさえ、69日以下は1.4%しかありませんし、300人以上の規模の企業では0.4%という数値になります。
産業別で一番休日が少ない「宿泊業・飲食サービス業」でさえ、平均は97.7日。69日以下は5.2%だけです。
つまり、普通と比べてしまうと、60日では、年間休日がかなり少ないと言わざるを得ませんし、休日が少ないのを承知の上で、希望の仕事をしたいという場合や、どうしても他では採用されないという場合以外は、あまりおすすめできる選択とは言えません。
年間休日が60日と少ないことのメリットはある?
よほど、転職先(就職先)に困っていない限りは、もっと休日数が多い企業は山ほどありますから、視野を広げていくようにしましょうね。
なにかメリットがある場合も無いとは言えませんが、それでも安易に考えるのは危険です。
年間休日60日で給料が高ければいい?
基本的には、規模が小さい会社で給料も安いというのが相場です。年間休日が少ないのに給料が安かったら、それこそブラックだと思う人だったら絶対にやっていけないでしょう。
しかし、現実には年休が少ない分、給料が高いという企業は少なく、どちらかと言えば、人件費という固定費はなるべく抑えないと経営に影響が出る可能性が高い企業のほうが多いのが現実です。
つまり、年間休日60日の場合、休みが少ないけど給料が高いということがメリットになる企業は、ほぼほぼ無いです。
少しくらい給料が高くてもメリットにならない
ただ、給料が高いケースが絶対に無いとは言い切れませんので、年間60日の休日と120日の給料で比較してみます。
年間休日60日の会社も120日の会社も年収が同じ350万円だったと仮定しましょう。
年休60日のほうは、8時間労働すると違法じゃない会社なら割増賃金も発生しますが、今回は便宜上変わらなかったことにして単純に計算してみます。
- 年間休日120日・・・245日出勤。350(万円)÷245(日)=14,285円/日
- 年間休日60日・・・305日出勤。350(万円)÷305(日)=11,475円/日
同じ年収でも、1日あたり2810円も少ない給料で働いているということになります。
年間休日120日と同じだけの日給で計算したら、年休60日で働いた場合、435万円は給料を貰える計算になります。
実際には「休みが多くなくても働いているほうがいいから、少し給料が高ければいい」という人もいるでしょうが、単純に考えれば、100万円近く給料が高くないとメリットとはとても言えないということになるでしょう。
仮に給料が高いと思った場合も、休みが少ない分を計算に入れたとき十分な年収なのかどうかも、しっかり吟味したほうが良いでしょう。
採用されやすいというメリットはある
30人~99人いう少な目の事業規模でさえ、69日以下の割合が1.4%しかないことを考えれば、年間休日60日の企業は、従業員20人以下の小規模企業ということも多いでしょう。
年間休日が60日しかない企業では、離職者も多くなるでしょうし、応募してくる人が少数になるでしょうから、採用されやすいという点はメリットになる人もいるかもしれません。
また、現在が成長段階で将来的に事業規模が拡大する可能性もなくはありません。半ばラッキーで会社が成長し、給与が高くなったり、休日も多くなったりということが無いとは言えないということです。
途中で離職する人も多いでしょうから、会社が小さい時から成長するまで勤めている人は、お偉いさんになる可能性も少なくありません。
ただ、可能性としては高くないですし、会社の将来性に不安を持つような人では、勤めあげられないでしょうから、それだけで、わざわざ年間休日の少ない企業に入りたいと思う人は少ないでしょう。
やりたい仕事なら持つ可能性もあるかも
仕事に対する価値観は人それぞれですし、人がなんと言おうと、あなた自身が満足できていれば幸せなわけですから、自分がどう感じるのかを軸にして考えていきましょう。
例えば漫画家志望の人が漫画家のアシスタントをやるくらい「やりたい」と思っている仕事なら続けていける人もいるかもしれません。
その会社でないとダメな理由があって、自分が納得していれば、それも良い決断と言える可能性はあります。
ただ、現実は厳しいので、年休60日では体も心も持たない可能性がそれなりに高いという認識は持っておいたほうが良いでしょう。
安易に考えていたのであれば、それで良いのかもう一度しっかりと考え直してみましょう。
休みが少なすぎて転職したいなら
ハローワークは求人数自体は多いのですが、無料で求人掲載ができるため、採用コストを掛けられない企業の求人もたくさん出ています。
休みが少なすぎて転職を考えているのであれば、まずはリクナビNEXTのような転職サイトで、年間休日が多い企業の求人を探し、情報収集をしてみましょう。
ちなみにリクナビNEXTで調べても、年間休日60日の会社は出てきません。
また、転職エージェントを利用すれば、転職サイトで公開されていない非公開求人がたくさんあります。
例えばリクナビネクストは求人数1万件くらいですが、同じリクルートのリクルートエージェントは、20万件を超える求人数を保有しています。
つまり、転職エージェントを利用するだけで、可能性が広がるということです。
これまでのキャリアによっては、断わられてしまうことがありますが、登録する前から諦めるのではなく、積極的に行動して可能性を広げていくことが大切です。
大手に断られても、若ければ既卒やフリーター向けの転職エージェントもあるくらいですから、どんどん利用していきましょうね。
転職サイト・転職エージェントのおすすめ下記の通りです。
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また、上記の転職エージェントでは断られてしまったという場合は、下記のページも参考にしてみてください。