転職活動を始めるにあたって、何の準備も無く始めてしまうより、あらかじめどのような準備をしておけば良いかしっておくことが大切です。
実際には、転職活動と並行しながら進めていく事になりますが、行き当たりばったりになるより余裕もできますし、転職活動をどのように進めて行けば良いのか解っているだけでも違うと思います。
このページでは、転職活動で企業への応募までに行う準備について解説していきます。
この記事の準備をしっかりすることで、準備を怠った場合と比べ、書類選考の通過率や、面接の通過率、内定獲得率を飛躍的にアップさせることが可能です。
理想的な転職に近づける為に必要な準備と捉えて、しっかり準備をしておきましょう。
転職準備をする目的は転職成功
転職準備をする目的は下記の2点です。
- 転職活動をスムーズに進める為
- 転職の条件を明確化する為
気持ちに余裕を持って冷静な選択ができるかできないかは転職成功と失敗の分かれ道でもあります。
日常とは違う事が多い転職活動では、迷う事も多いものですし、企業を選ぶ際にも基準があるのとのないのとでは大きな違いです。
1つ1つの選択に転職成功の可否が掛っていると言っても過言ではありませんし、希望に沿った満足度の高い転職を実現するためには準備が欠かせません。
転職準備をしなかったことでの転職失敗例
あまり深く考えずに応募企業を選び、内定が取れたので入社を決めましたが、仕事内容にやり甲斐を持てずにいます。自分が何をやりたいのかしっかり考えてから企業を選ぶべきだったと思います。(26歳・男性)
最初に内定が出た企業に転職を決めてしまったが、もっと良いところに行けたのではないかと後悔しています。(28歳・男性)
STEP1:転職のスケジュールを立てる
転職スケジュールは、まずは「転職した人の平均値(活動期間・書類選考通過率・内定率など)」を参考に、「転職活動の期間」を仮定して「応募する企業数」を大枠で良いので決め、現在の仕事の状況等を加味しながら、おおまかにで良いので、決めていきましょう。
一般的には転職に必要な期間は3か月から6か月と言われていますが、年齢や経歴によっても違ってきますし、必ずしもスケジュール通りに進むとは限りません。
しかし、予めスケジュールを設定しておくことで、モチベーションを維持しやすくなりますし、軌道修正もしやすくなります。
転職準備の期間は1~2ヶ月
転職スケジュールを大まかに分けた期間の目安は下記のようになります。
- 転職準備期間(1~2ヶ月)
- 書類選考・面接(1~2ヶ月)
- 内定~退職(1~2ヶ月)
それぞれの期間を1ヶ月で進めれば3ヶ月で転職ができますし、2ヶ月ずつで進めれば半年で転職ができます。
いつ頃から転職先で働きたいかを含め、あなたの実情に合わせて3ヶ月や半年といった転職活動期間の目標を立てるとイメージがしやすくなります。
ポイント「早目に転職したい」という場合は、転職準備と内定から退職までの期間をできるだけ短くできるように工夫しましょう。
例えば1~2週間で最低限の準備をして、後は選考を進めながら準備を継続していく方法もあります。ただし、準備を怠ると良い結果を得られづらくなりますので、期間を短縮しても準備するべきことはしっかりと行うようにしてくださいね。
また、ボーナス時期や有給休暇の消化なども考慮に入れながら、転職スケジュールを組むようにすると良いでしょう。
具体的な転職スケジュールの立て方については、下記の関連ページを参考にしてください。
関連ページ・・・転職活動の期間は3か月?成功に近づく為の転職スケジュール
STEP2:経歴やスキル、資格などの整理
今までの自分の経歴や、仕事上で経験してきた内容を全て紙に書き出し、過去の仕事内容を整理しておきましょう。
そうすることで自分が何を得意として、これから何をしていきたいのかが見えてきますし、職務経歴書や面接でのアピールポイントも明確になります。
一般的に「キャリアの棚卸」と言われているものですが、下記の5つのステップで行います。
- 5WIHで経歴を棚卸する
- 実績や工夫したこと、得られたことを書き出す
- 仕事の自己評価と満足度とその理由を書き出す
- 転職した場合に満足度が上がるかを考える
- 将来のキャリアプランを考える
5W1Hで経歴を書き出すことで、経歴を整理しやすくなります。次にその仕事での実績や工夫したこと、得られたことを具体的に掘り起こしていきます。
職務経歴書や面接でも役に立ちますので、エピソードも含めてより具体的に書き出しておくようにしてください。
次に仕事の自己評価・満足度に点数をつけ(例:10段階で6など)、その点数になった理由を書き出します。それを基に転職した場合に満足度が上がる可能性が高いのか低いのか考えてみましょう。
最後に、転職後に、どのような職種・業務内容の仕事をして、どうなっていきたいか(役職や給与などを含め)、理想や目標を定め、それを達成する為の手段・方法を考えて書き出してみましょう。
今の会社で実現可能であれば、転職の必要はないでしょうし、転職をしなければ実現が不可能な内容であれば、実現可能性が高い企業への転職を進めていきます。
キャリアの棚卸については、下記のページにより詳しく解説していますので、参考にしてください。

STEP3:自己分析をして転職の目的を明確にする
あなたにとって転職の目的は何でしょう。どんな仕事でどう活躍したいのか。どんな環境で働きたいのか。何のために転職を考えているのかを整理しておきましょう。
またその際には仕事を通して「社会や人にどのような影響を与えたいのか」を考えてみる事が大切です。そうすることで、自分の価値観を明確にすることができます。
また、自分のアピールできる長所もあらかじめ整理しておくようにしてください。
企業側も「あなたの経験や能力、パーソナリティーを自社でどう発揮して活躍してくれるのか」が重要なポイントですから、自己アピールの際に大いに役立ちます。
自己分析を行う際は、下記のページで解説しているような、適職診断や設問に答えるだけで自分の強みを知ることができる「グッドポイント診断」など、便利なツールがあるので、有効活用していきましょう。

転職理由がネガティブでも前向きな転職の目的を見つける
転職するという事は、現在の仕事を続けないと選択するということでもあります。
もともと転職を考えるにあたって「上司との人間関係が悪くて・・・」とか「収入が足りない・・・」とか「休日出勤や残業多くて・・・」など、ネガティブな理由になるケースは多いでしょう。
しかし、「今の会社を辞めたい」事だけをゴールにするだけで、満足度の高い転職を実現することは難しいです。
会社を辞めようと思っている(もしくは辞めた)理由を整理した上で、その不満が解消できれば、転職成功と言えるのか、この機会に自分の心の中を整理してみましょう。
転職後のキャリアプランを明確にしていくことで、ネガティブな転職理由だけでなく、前向きな転職の目的を見つけることができますので、自分の理想や目標を持つようにしてください。
考えても考えても、現職への不満以外の理由で転職の目的があまり出てこない場合は、ブレインダンプという手法で頭の中を一度空っぽにして、本当の自分の希望やすべきことを明確にしていくのも良いでしょう。
ブレインダンプの方法
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- A4の紙を数枚とボールペンを用意
- 深く考えずに「欲しいもの・こうなりたい」などの願望を浮かんだまま書きだす
- 深く考えずに「やるべきこと」を浮かんだまま書きだす
- 深く考えずに「やりたくないここと」を浮かんだまま書きだす
- 深く考えずに「自分ができること」を浮かんだまま書きだす
- 吐き出して頭がすっきりした状態で、書かれた内容を見返す
ポイントとしては、「もう出てこない」と感じるまで書きだすことです。(目安は各テーマごとに50個以上)
頭がすっきりして、自分が何を望んでいるのかハッキリしやすくなるのでおすすめしておきます。
※もっと詳しく知りたい場合は、ネットで調べてください。
STEP:4企業の情報収集を行う
①求人情報をチェックする
転職サイトで、求人のチェックをしましょう。募集要項(企業の求める経験やスキル)が記載されているので、自分が応募した場合の成功可能性も考慮に入れながら、情報収集しましょう。
自分がその会社に入って、キャリアが積めるのか。自分の経験やスキルと企業ニーズがマッチするのか。などを見極めながら応募する企業や職種のニーズの傾向性も掴んでいくと、ターゲットが絞れてきます。
②企業情報を集める
最低限、企業のホームページで、企業の事業や製品、売上高の推移や取引先を調べます。また、現在力を入れている事業や製品などの情報も押さえておきます。ホームページだけでは解らない場合は、ネットで検索して調べておきましょう。
売上高などで、同じ業界のライバル企業との比較もしておきたいところです。面接の際にも役立ちますし、志望企業のライバル会社に魅力を感じるケースもあります。
③志望業界の状況・職種の情報もチェックする
ある程度、志望業界の動向を知らないと、企業のニーズをつかむことはできません。それでは、企業から見れば見当違いな応募と感じられてしまうかもしれません。また希望する職種の現在の需要や、企業側が必要と考えているスキルなどを知っておくと良いです。
また、売上高の企業情報の比較や、業界情勢などは、会社四季報やネットの経済ニュースなどでチェックしましょう。
④転職エージェントを利用する
転職エージェントは、求人紹介から書類選考対策、面接対策、面接スケジュールの調整、給与待遇交渉など、転職全般に関するサポートを無料で受けられるサービスです。
転職エージェントを利用すれば、紹介企業の詳細な内部情報を教えてもらうことができます。情報収集するのは、とても労力が掛りますし、自力で調べるには限界もあります。
転職エージェントは、求職者に転職先を紹介し、企業の希望する人材を紹介する仕事ですから、転職のプロです。企業の情報だけでなく、あなたの経歴や適性から、的確なアドバイスを受けることができますので、積極的に利用することをおすすめします。
転職エージェントは数多くありますので、選ぶ際に迷うこともあるかと思います。年齢や性別、希望業界などによってもおすすめは異なりますが、まずは最大手の2社から利用することをおすすめします。
リクルートエージェント・・・業界最大手。知名度を活かした企業との太いパイプがあり、質の高い求人を保有しています。効率的でスムーズな転職活動を望むならおすすめです。
doda・・・リクルートエージェントに匹敵する求人数を保有し、サポートに定評がある転職エージェント。手厚いサポートを望むならリクルートエージェントよりおすすめです。
他社とは求人数が圧倒的に違う為、転職エージェントを利用するのであれば、上記2社は登録必須です。
関連ページ・・・転職エージェントとは?基礎知識と選び方の軸
転職で準備するもの
転職活動では「準備すること」はいろいろありますが、「準備するもの」は大してありません。
- スーツ・靴・ネクタイなど
- 履歴書・職務経歴書
- 転職にかかるお金
スーツ・靴・ネクタイなど
スーツや靴・ネクタイなどは普段使用している場合は問題ないでしょう。ただ、よれよれのスーツやYシャツ、汚れた靴は印象を悪くする恐れがありますので、身だしなみには気を使うようにしましょう。
業界によっては、「私服で来てくださって結構です」言われる場合もあります。スーツで面接を受けるのは無難ですが、指定された場合は服装からも求職者の情報を得ようとしているケースが考えられますので、スーツではかえって浮いてしまう事もあります。
私服で面接を受ける場合は、カジュアルすぎる服装はNGなので、手持ちがない人は用意する必要があります。
履歴書・職務経歴書
履歴書や職務経歴書は、市販品もありますが、特に職務経歴書については、パソコンを使って自作をする事が望ましいです。履歴書は「個人情報を確認する人事書類」でしかなく、職務経歴書が選考の対象になります。
自作で、見やすくまとまった良いアピールができるかどうかは、選考通過の肝ですので、しっかり準備をしておくようにしましょう。基本的な書式はあるものの、テンプレートは自由です。
書式を簡単に説明すると「編年体」は年代の古い順に経歴を記載します。初めての転職やキャリアの浅い人向きな書式です。
「逆編年体」は直近の経歴から順に記載します。現職の経歴をアピールしやすく、応募企業の人材ニーズとマッチ度が高い場合におすすめです。
最後に「キャリア式」ですが、職務内容ごとにまとめて経歴を記入する形式です。経験した分野ごとの実績・経歴をアピールしやすい形式で、転職回数が多い人も見やすくまとめやすい書式です。
転職にかかるお金
仕事しながら転職活動を進める人にとっては、それほど大きな問題ではないでしょうが、離職後に転職活動をする場合は、費用のことも頭に入れておかなくてはいけません。
転職サイト「リクナビNEXT」によると、転職活動経験者1000人の転職資金は、「在職中の転職者」で36万円、「離職後の転職者」で71万円というデータがあります。転職活動の資金を用意していない場合、想像していたより「お金のピンチ」が襲い掛かってくることがあると認識していたほうが良いです。
転職活動に掛る費用は下記のものが挙げられます。
- 生活費
- 家賃
- 交際費
- 交通費
- スーツ代、靴代、鞄代
- 書籍代
- 履歴書や写真代など雑費
上から順番に費用が高いものです。このうち「生活費」や「家賃」などは特に離職中の人は準備をしておかないと、転職活動もままならなくなると思います。離職後の転職活動はやむを得ない理由がなければ、おすすめしませんが、その場合は最低でも失業保険が降りるまでの生活費などは準備する必要があります。
特に家庭がある場合は、生活費の負担も大きいですし、家族にも理解を得て計画を立てることも転職準備の中に入ってきます。
応募書類の作成
応募書類の作成は、応募する求人が決まってからで良いですが、あらかじめ履歴書の基本的な事項(大学の卒業年月や職歴、志望動機など)であったり、職務経歴書に記載する自己PRの雛形は準備しておくようにしたいところです。
志望動機・自己PR・経歴・成果のエピソード・仕事で得られた成長などを整理しておきましょう。
職務経歴書では、下記の6点をアピールする書類を作成します。
- キャリア
- 実績
- スキル
- 資格
- やる気
- 人間性
その中で企業の選考ポイントを見極めて「企業のニーズに応えられる人材だ」と、魅力を感じてもらえる書類にしていく必要があります。
下記のページでは、より詳しい職務経歴書の書き方や、フォーマットなども紹介していますので、作成時には参考にしてください。

まとめ
転職活動において準備はかなり重要なものです。「所詮準備でしょ」なんて思わずに、しっかり取り組みましょう。
自己分析や企業分析などの準備がしっかりできているからこそ、応募書類や面接において企業にとって欲しいと思わせるアピールが可能になります。
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