転職理由は、人によって様々ですし、退職をするわけですからネガティブな要素も含まれていることも多いものです。
このページでは、みんなが転職のきっかけにした「転職理由」を紹介していくとともに、面接で転職理由を聞かれたときに、どう応えて良いのか解らないという人も、答え方のヒントが見つかるよう、例文を交えて解説しています。
ぜひ、参考にしてください。
みんなの転職理由は?
転職をする際に、他の人の転職理由はあまり関係ないですが、やはり気になるものですし、傾向を掴むことで、面接対策にもなります。
ここでは、dodaの転職理由アンケート調査と厚生労働省の雇用動向調査を比較して、転職理由の傾向を見ていきます。
転職理由ランキング:dodaのアンケート
まず、転職サイトdodaの2016年10月~2017年3月の半年間に転職活動を行った約3万5,000人を対象としたアンケートの結果から見ていきましょう。
出典:doda 転職理由ランキング<最新版> 総合
dodaのアンケートでは、良く転職理由の上位に挙げられる「人間関係が上手くいかない」は、順位が高くなく、18位でした。
上の画像の表は、あくまでdodaを利用した35000人によるアンケート結果です。dodaの使用者の傾向が解るので、全ての人を対象とした場合と結果は違ってきますが、見比べると役に立ちます。
厚生労働省の雇用動向調査による転職理由
厚生労働省の発表する平成28年上半期雇用動向調査の概要(29年5月30日現在最新の情報)では、退職理由は下記の順になります。
こちらのデータは契約社員や派遣社員もデータに入ります。
男女別で転職理由がかなり違うので男女別に見ていきます。
男性の転職入職者が前職を辞めた理由
1位 | 定年・契約期間の満了 | 19.0% |
2位 | 給料等収入が少なかった | 10.8% |
3位 | 会社の将来が不安だった | 9.5% |
4位 | 労働時間、休日等の労働条件が悪かった | 8.6% |
5位 | 職場の人間関係が好ましくなかった | 6.7% |
6位 | 会社都合 | 5.2% |
7位 | 能力・個性・資格を生かせなかった | 4.4% |
8位 | 仕事の内容に興味を持てなかった | 4.3% |
9位 | 介護・看護 | 1.1% |
10位 | 結婚 | 0.6% |
1位は「定年・契約期間の満了」なので、転職を考えるこのサイトをご覧の方には当てはまらないでしょう。
そういう意味では2位の「給料等収入が少なかった」が実質的には1位になります。続いて「会社の将来が不安だった」「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」「職場の人間関係が好ましくなかった」と続いていきます。
仕事のやりがいや、能力や個性、資格を生かせないというような、「仕事内容」への不満から転職を選部人より、「給与」「会社の将来に不安」という、個人の経済面と直結する理由が上位になっている傾向がつかめると思います。
女性の転職入職者が前職を辞めた理由
1位 | 定年・契約期間の満了 | 15.0% |
2位 | 労働時間、休日等の労働条件が悪かった | 12.1% |
3位 | 職場の人間関係が好ましくなかった | 11.2% |
4位 | 給料等収入が少なかった | 9.1% |
5位 | 会社都合 | 5.1% |
6位 | 会社の将来が不安だった | 4.9% |
7位 | 仕事の内容に興味を持てなかった | 4.3% |
8位 | 結婚 | 2.3% |
9位 | 出産・育児 | 1.6% |
10位 | 介護・看護 | 1.1% |
女性の転職理由は、「労働条件」が2位(実質1位)、続いて「人間関係」、「給与」、「会社都合」といったところが上位に並び、「経済面も大切だが、プライベートも充実したい」「会社の人間関係で辛い想いをしている」といった人が多い傾向がつかめます。
dodaのアンケートと厚生労働省の発表との比較
使用者に限られるdodaのアンケート調査と、対象が広範囲な厚生労働省の雇用動向調査の転職理由とで比較してみましょう。
dodaのアンケート調査では転職理由の上位は、「他にやりたい仕事がある(12.8%)」「会社の将来性が不安(9.7%)」「給与に不満がある(8.0%)」「残業が多い/休日が少ない(6.6%)」「専門知識・技術を習得したい(4.4%)」という順番になっています。
給与や会社の将来性といった、経済面に直結する理由も上位になりますが、同時に「やりがい」「スキルアップ」「休日などの労働条件」も重視している人が多いことが解ります。
dodaの利用者の大半が正社員ですし、ネットを通じて利用することがほとんどでしょうから、年齢層は20代30代の若い世代の利用が多くなります。
一方、厚生労働省の調査は、継続雇用されていれば雇用形態は問わないものですし、年齢もこのサイトでは全年齢層のデータになりますので、違いが明確に出ているかと思います。
正社員はスキルアップ・キャリアアップ・やりがい・収入・労働環境を改善したい
データは、対象によっても、アンケート項目によっても違いが出るものですが、dodaのデータから傾向を掴むのであれば、転職した正社員層は、「スキルアップ」や「キャリアアップ」「仕事のやりがい」「収入」「労働環境」などの転職理由が多い傾向があります。
恐らくは、転職理由は複合的な要素があると思いますが、前向きな転職理由の場合、「自分の能力を生かせる環境で、スキルアップし、収入も上げていきたい」と考える人が多いことが解ります。
また、依然として、会社の将来に不安がある人や、残業が多く休日が少ない中、必死で働いている人たちが多いことも伺えます。
会社を辞めることはネガティブなこと?
日本でも、終身雇用が崩壊しつつあり、転職することは当たり前になりつつありますが、根底には「会社を辞めるのは良くない」という意識も少なからず残っているのではないかと考えます。
しかし、会社を辞めるということはネガティブなことでしょうか。転職理由を調べて行くと、「より良い生活がしたい」「より良い仕事をしたい」「より幸せになりたい」といった、前向きな意思を感じます。
転職には、前職より条件や環境が悪くなるリスクも存在しないわけではありません。しかし、そのリスクがあるにも関わらず、「前向きに」「自分の人生を切り拓いていく」勇気や覚悟を持って転職に臨んでいる人も多いのではないでしょうか。
会社や仕事内容の悪い部分に嫌気がさして転職を考える人も多いでしょうが、そういった場合も「より良くなりたい」という意識や、本能的な部分が、「転職しようかどうしようか・・・」と悩ませるのでしょう。
この章の結論を言うなら、「転職はネガティブではない」ということになるでしょう。転職理由はネガティブ要素に見えて、実は「より理想に近づくことを求めている」だけのことです。
そう考えれば、ネガティブ要素で転職するから、「転職理由を本音で話すのは良くないのかな」と考える必要はないでしょう。
ポジティブな要素が必ず含まれていますので、伝え方を工夫することで、面接時にも面接官に好印象を与えることができるのではないでしょうか。
転職理由は本音で話しても良い?
基本的には、転職理由は本音で話すべきです。嘘をついたところで、百戦錬磨の面接官には違和感を感じとられてしまうでしょう。
また、伝えにくい転職理由を前向きな姿勢で話す応募者には好印象に見えることも多いでしょう。
しかし「伝え方」によっては、面接官に悪い印象を与えてしまう場合がありますのでポジティブに受け取ってもらえるよう言い換え、かつあなたが本音として話せる内容にまで掘り下げることが大切です。
また、転職理由は複合的な場合が多いかと思います。第一の転職理由としては、ポジティブに伝えやすいものを選ぶと良いでしょう。
企業側が転職理由を聞く理由
転職する人に企業側が心配するのは「またすぐに辞めてしまわないか」「会社や環境のせいにする傾向が強くないか」ということです。
せっかく、入社してもらっても、すぐに辞めてしまうのであれば、企業は損をするだけです。また面接官の評価も下がってしまうこともあるでしょう。
すぐに会社や環境のせいにしてしまう人は、また辞める可能性が高いですし、「自分が成長して解決していこう」という向上心やポジティブな意欲が足りない人と受け取られてしまう可能性があります。
面接官が、転職理由を聞く理由を理解した上で、転職理由をどう伝えるのか考えることが大切です。
転職理由別の例文
上位の転職理由をどう伝えていく良いか、例文を掲載します。ただし、例文はあくまで例文です。自分の言葉で伝えることが大切です。
ほかにやりたい仕事がある
向上心と入社後の意欲が感じられるかがポイントです。漠然と「違う仕事がしたい」ではなく、理由が具体的で転職すれば実現可能と前向きに考えている意欲を伝えていきましょう。
ポイントはネガティブな状況を建設的に改善しようとする姿勢です。あくまで自分で納得ができる理由にしていくことが大切です。
給与に不満がある
給与の不満は直接的に言うと角が立ち、悪く受け取られる可能性が高いですが、評価に置き換えれば、転職理由として伝えやすくなります。また、給与交渉は転職エージェントを利用してコンサルタントに交渉してもらったほうが角も立たず、余計な事を考えずに済みます。
残業時間多い・休日が少ない
ある程度の残業はどこの会社でもあるので「ただただ残業が嫌だ」というだけでは理由として成り立たなくなります。必要な残業は問題ないという姿勢を見せれば面接官も安心できますし、それで落とす企業は残業が過度にある企業でしょうから、入社するリスクも軽減できます。
職場の人間関係が好ましくなかった
「人間関係が上手くいかなかった」と伝えれば、協調性が無いパーソナリティーとして受け取られてしまう可能性がありますが、伝え方によっては、コミュニケーション能力を発揮してチームの業績を伸ばしてくれる期待を持ってもらえる可能性のある転職理由にすることができます。
転職理由を考える際の注意点
転職理由を考える際には、ポジティブな内容に受け取られるよう工夫する必要はありますが、作りすぎると違和感が出てしまうものです。
例えば、このページの例文は、転職の達人が考えたものですから、当然実際に起こった事から考えた転職理由の例ではありません。あくまで、自分の本心として言える範囲の内容にとどめることが大切です。
また、その企業がどういう企業なのかという企業研究は必須になります。入社してもらっても、実現性が低い内容で伝えてしまうと、内定から遠ざかる結果になる可能性がありますので注意してください。
例えば、上記の例で挙げた「年齢や性別にとらわれず、成果をバランス良く評価されている企業に転職したいと考えたので、御社に応募しました。」という内容ですが、”成果をバランス良く評価されている企業”戸いう裏づけを取っていないでイメージだけで言ってしまうと、実際とは違う可能性が出てきてしまいます。
最低でも、転職会議のような企業の口コミサイトや、経済情報誌などの情報から裏付ける必要がありますが、転職エージェントを利用していれば、コンサルタントから情報を得られますので、情報を収集してもらいましょう。
まとめ
転職理由のポイントは
- 嘘をつかないこと
- 本音で話せる内容にすること
- ネガティブ要素をポジティブに変換すること
転職理由は、ひとそれぞれですから、このページでは当てはまらない場合も多いでしょう。面接対策をしてくれる転職エージェントを利用すれば、コンサルタントに相談でき、より良い転職理由を考えることができるので、これから転職を考えるのであれば、積極的に利用していくことをおすすめします。